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ヘルスケア2021.04.20

【健康Q&A 小児科】RSウイルス

妊娠、出産、子供の病気…その都度悩みがたくさん出てくると思います。そんな気になる悩みを産婦人科・小児科・小児歯科の各先生方にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「健康相談室」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。

 

ご相談内容
RSウイルス感染症とはどのような病気ですか。詳しく教えてください

 

RSウイルス感染症とは
RSウイルスに感染することによって発症します。毎年冬に流行します。
RSウイルスは再感染を起こしやすく一生の間に何回もかかるウイルスです。同じ流行期にも繰り返し感染します。
1・2歳以上でかかると鼻炎、上気道炎の風邪の症状で終わります。しかし乳児期にかかった場合、細気管支炎や肺炎などの下気道感染をきたしやすくなります。
まず、鼻の粘膜に感染したRSウイルスは3~5日間の潜伏期間の後、鼻汁など上気道炎症状を呈します。それが2~3日でおさまればいいのですが、感染が下気道におよんだ場合、咳嗽<がいそう>がひどくなり、ぜいぜいいう喘鳴、多呼吸、陥没呼吸などの努力呼吸の症状を現してきます。
新生児ではがんこな無呼吸を起こすこともあります。また分泌物が大量にでて気道をつまらせて無気肺を起こすことがあります。このときの喘鳴はいったんよくなりますが、他のウイルス感染症などにかかったときにまた喘鳴の症状を繰り返す子どもさんもいます。
RSウイルスに感染した場合にはRSウイルスを抑制するような有効な治療法はなく、対症療法になります。

 

重症化を防ぐには
RSウイルス感染症が下気道におよぶと重症になるわけですが、下気道におよびやすい要因としては、①お母さんのお腹にいた期間が短い早産児、②お母さんからの移行抗体が少ない(たとえば早産児など)、③アトピー素因、④ひよわな呼吸機能、⑤受動喫煙などがあげられています。
そこで、重症化を防ぐために、次のことに注意しましょう。
母乳をあげましょう。母乳には赤ちゃんの感染症の重症化を防ぐ上で有効な免疫物質が含まれています。
風邪を持ち込まないようにしましょう。外出先から帰ってきたらうがい、手洗いを。感染症の流行時期には赤ちゃんを人ごみに連れていかないことなどに気を付けるといいですね。赤ちゃんに触れるときには手をきれいに洗ってからにしましょう。お兄ちゃん、お姉ちゃんがいるおうちでは感染症を赤ちゃんにうつす危険が高くなります。お兄ちゃん、お姉ちゃんも日頃から手をきれいに洗うなど、衛生に心がけるといいですね。
受動喫煙のリスクを減らしましょう。お父さん、お母さんが煙草を吸わないようにしましょう。

 

RSウイルスの重症化を防ぐための注射
RSウイルス感染症が特に重症化しやすい早産児、慢性的な肺の病気、生まれつきの心臓病などの赤ちゃんにはRSウイルスに対する抗体を投与して重症化を防ぎます。もしもRSウイルスに感染してしまった場合、致命的になることがあるためです。
ふつうのワクチンは病原体に対抗する抗体を赤ちゃんを作らせるための抗原を注射しますが、このRSウイルス用の注射は、作られた抗体のほうですから、赤ちゃんが自分で抗体を作り始めるわけではありません。赤ちゃんに外から与えられた抗体はずっと長持ちするものではないので、RSウイルス感染症の流行期間中に月1回の筋肉注射を継続して行っていきます。
RSウイルス感染症は例年9月頃から春先まで流行があります。その間、月1回の注射を継続するわけです。

 

RSウイルス感染症の診断
RSウイルス流行のピークはだいたい12月から1月頃ですが、その年によって、8月頃から流行がみられたり、3月頃に流行したりなどというときもあります。
周囲で流行していれば、症状から診断がつくこともあります。鼻孔から細い綿棒を入れてのどの奥の粘膜上の分泌物をこすりとってRSウイルス抗原を調べる検査を行うこともあります。この検査は1歳未満の乳児では保険診療で行えます。

 

RSウイルス感染症の治療
RSウイルスに対する特効薬はありません。発熱、咳嗽、鼻汁、喘鳴などの症状をやわらげる治療が中心になります。
呼吸の状態が悪くなる場合や脱水症をきたす場合などには入院して治療を行うことになります。
赤ちゃんの、自分でなおる力に期待するしかないので、普段から栄養や睡眠などに気を付けて体力をつけ、おうちの中に風邪を持ち込まない注意をすることが肝要です。

(2015年夏vol.53号掲載)

高岡市民病院小児科医 辻 春江先生

平成元年金沢大学医学部を卒業、同年金沢大学小児科学教室に入局。
石川県立中央病院、国立療養所北潟病院、国立療養所医王病院等に勤務後、平成11年4月から高岡市民病院に勤務。

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