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ヘルスケア2021.08.11

【健康Q&A 産婦人科】若年性更年期障害

妊娠、出産、子供の病気…その都度悩みがたくさん出てくると思います。そんな気になる悩みを各診療科の先生方にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「健康相談室」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。

 

ご相談内容
最近更年期障害が気になってきました。若年性もあるようですが、どんな症状がでるのでしょうか。また、予防法はありますか。

 

女性は成長にしたがい、卵巣からエストロゲンという女性ホルモンが分泌され、月経が始まります。その後、20〜30歳代にエストロゲンの分泌は活発になりますが、40歳を超える頃から徐々に卵巣の働きは衰えはじめ、最終的に50歳頃には月経がなくなり、閉経を迎えることになります。更年期とは、閉経前後の約5年間を指すと言われており、平均的には45〜55歳にあたります。
更年期の時期に、下記のような症状を自覚する場合、更年期障害といいます。
顔がほてる、汗をかきやすい、腰や手足が冷えやすいなどの血管運動神経症状
息切れや動悸がする、寝つきが悪い・眠りが浅い、怒りやすくイライラするなどの精神神経症状
疲れやすい、肩こり、腰痛、手足の痛みなどの運動神経症状

若年性更年期障害とは年齢的には更年期前であるにもかかわらず、更年期障害のような症状が現れてしまうものを指すようですが、正式な病名ではありません。しかし、最近20代、30代の若い女性でも月経が不順になったり、月経が無くなったりして、更年期障害と同じような症状を訴える人が増えてきました。この中には、様々な原因で40歳前に閉経してしまう「早発閉経」の人もおられますが稀なことです。では、閉経するわけではないのに、更年期障害と似たような症状が現れる場合は、どう考えれば良いのでしょうか。
若い人でもストレスや無理なダイエット、不規則な生活が原因で、脳から出る卵巣を刺激するホルモンの分泌が低下し、卵巣の働きも悪くなります。その結果、エストロゲンの分泌が低下し、更年期と同じような症状が現れると考えられます。また、スポーツ選手などの場合、過激な運動が原因になることもあります。いずれせよ、月経不順や無月経は女性にとっては危険信号です。婦人科を受診し検査を受け対処しましょう。
また、更年期障害の症状は、うつ病、神経症、統合失調症などの精神疾患の症状と似ていることがあります。月経があるにもかかわらず、このような症状がある場合は、精神科や心療内科の受診が必要な場合もあります。

 

月経不順や無月経の治療法
無月経は長く放置すると、治療をしても回復しなくなることもあるので、早めに治療を受けることが肝心です。これから妊娠、出産を考えている場合は、無月経が重症になると治療が困難な不妊症になる恐れがあります。
まず、体重の減少やストレスから来るホルモンバランスの乱れが原因なのか、それとも卵巣機能が低下したり、早発閉経になったりしていることが原因なのかを調べることが大切です。これは、血液検査で調べることができます。
この結果、早発閉経と診断された場合、骨粗鬆症や脂質代謝異常など閉経後に増える疾患が出てくる可能性が高くなるので、ホルモン補充療法などで積極的に治療する必要があります。卵巣機能が低下している場合や、ホルモンの分泌量が少ない場合もそれぞれに適したホルモンの薬が使われます。また、妊娠を希望し、妊娠を考えられる状況であれば早めに積極的な不妊治療をおすすめすることもあります。
ただし、いくらホルモン治療をしても、極端な体重の減少や不規則な生活、仕事や人間関係のストレスなどが改善しなければ、健康にはなれません。時にはカウンセリングなどの方法を利用するなど、ストレスを溜め込まないように工夫しましょう。ダイエットや運動も健康を害するようでは意味がありません。まずは、体調が回復するまでは中止しましょう。

(2016年夏vol.57号掲載)

女性クリニックWe! TOYAMA院長 若杉 聡美先生

1996年富山医科薬科大学(現・富山大学)医学部卒業後、産科婦人科学教室に入局。
2003年自治医科大学生殖医学センターにて研修。
富山大学産科婦人科助教を経て、2008年より女性クリニックWe! TOYAMA。2019年より現職。
医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会会員。

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