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編集部のライターたちが書き下ろした
富山での子育てに役立つ情報をまとめています

ヘルスケア
2021.11.16

【健康Q&A 小児科】子どもの低身長

妊娠、出産、子供の病気…その都度悩みがたくさん出てくると思います。そんな気になる悩みを産婦人科・小児科・小児歯科の各先生方にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「健康相談室」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。

 

ご相談内容
同年齢の子どもに比べて子どもの身長が低いような気がします。両親とも大きい方ではないのですが…。

 

赤ちゃんは身長約50㎝で生まれてきますが、乳幼児期、小児期、思春期の3つの時期を経て大人になるまでに身長は3〜3.5倍伸びます。乳幼児期の3歳までは「栄養」が成長に大きく関わっています。3歳頃になると「成長ホルモン」の影響が大きくなり、成長ホルモン分泌不全症では成長率の低下が目立ってくるようになります。思春期以降になると「栄養」や「成長ホルモン」の他に「性ホルモン」も成長に関わってくるようになります。その他に身長に個人差があるのは両親の体格、自身の体質、栄養、生活環境、運動などの影響を受けるからです。

 

低身長とは
同性同年齢の子どもの平均身長と比べて身長が低い、あるいは成長の速度が遅い(図1)場合を指し、少し身長が低いというだけでは低身長とはいいません。成長障害があるかどうかは、子どもの「身長」と「1年間の身長の伸び」で判断します。(低身長の目安を図2に記載)
低身長の主な原因
病気とは考えにくいもの(体質、家族性、未熟児など)
成長ホルモンの不足:成長ホルモン分泌不全性身長症
妊娠期間のわりに小さく生まれて、その後の伸びが悪い:SGA性低身長症
染色体の異常:ターナー症候群、プラダーウィリー症候群
骨や軟骨の異常:軟骨異栄養症
心臓、腎臓などの病気:慢性腎不全による低身長症
心理社会的な要因(愛情遮断症候群など)
睡眠、栄養、運動不足
原因は親御さんの判断で決めつけず、医師にご相談ください。
成長ホルモン不足が原因の「成長ホルモン分泌不全性低身長症」の治療は、もともと体にあるべきものを補充する治療法ですので、体への負担や副作用はほとんどありません。ただし治療できる期間は骨端線が閉じる(骨が成熟する)までしか効果が期待できませんので、気になったときに早めに医師に相談することが大切です。医療費は「小児慢性特定疾病」に含まれているため、一定の基準を満たす場合は公費補助が受けられます。

図1 低身長の基準(標準偏差:SD
身長が同性同年齢の子どもと比べて-2SD以下(図2)の 場合
1年間の身長の伸び率が2年続けて-1.5SD以下 (小学校高学年以降では約4〜7cm以下)の場合

図2 低身長の目安(身長、伸び率はcmで表記)

 

生活リズムの見直しを
「食事」「睡眠」「運動」といった生活習慣は子どもの成長に大きく関わってきます。最近の子どもは夜型生活が多くなっており生活リズムの乱れが食事に影響している場合もあります。また、子どもの成長に大きく関わる成長ホルモンは夜間の睡眠時に多く分泌されます。日中によく運動すると成長ホルモンの分泌も促進され、夜も疲れてぐっすり眠ることにもつながります。ストレスも身長には大きく左右するため、かけすぎないことが大事になります。

 

標準より大きすぎる場合
身長は骨と骨の間の軟骨が伸びることによって大きくなります。骨と骨の間の隙間がなくなっても成長ホルモンが出すぎることによる末端肥大症という病気があります。成長ホルモンと性ホルモンの出方のバランスが大事になります。

(2017年春vol.60号掲載)

わだ小児科クリニック院長 和田 直樹先生

昭和50年、金沢大学医学部を卒業し、同小児科学教室に入局、その後、厚生連高岡、金沢赤十字病院などを経て、55年、高岡市民病院に勤務。平成3年、こまどり学園園長を兼任。14年、高岡市民病院主任部長となり、17年、わだ小児科クリニックを開業する。小児科専門医、医学博士。