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妊娠、出産、子供の病気…その都度悩みがたくさん出てくると思います。そんな気になる悩みを産婦人科・小児科・小児歯科の各先生方にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「健康相談室」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。

 

 

風疹抗体検査を受けておいた方がよいですか？
平成24年から25年に、日本国内で20代から40代の成人を中心に風疹が大流行しました。妊娠初期に風疹に罹患すると、胎児に先天性風疹症候群を発生することがあります。
先天性風疹症候群は、妊娠中の感染時期が早いほど発症リスクが高く妊娠週数を追うごとに発症率は低くなり、妊娠20週以降の感染では基本的に永続的な障害を残さないとされています。3大症状は眼（白内障、緑内障、網膜症、小眼球）、耳（高度難聴）、心臓奇形があります。
風疹抗体価を検査する目的は、抗体陰性や低抗体価のものに対して妊娠中に風疹にかからないよう注意を促し妊娠終了後のワクチンを推奨することと、妊娠初期に風疹にかかった可能性のある妊婦さんを割り出し、リスクを評価することです。ただし過去3カ月以内の風疹患者との接触、発疹、発熱、頸部リンパ節腫脹、小児との接触が多い就労など問診が重要になります。
風疹抗体価は個人差が大きいです。値が高いだけでは心配ありません。
身近にいる人が明らかに風疹にかかったり自分に発疹や発熱が出現したりした場合には、速やかにかかりつけの産婦人科に電話で相談しましょう。産婦人科には他の患者（妊婦）さんがいるので直接受診することは控えます。
抗体がないか低いと言われたら、妊娠初期は人混みをさけ、妊娠終了後に風疹ワクチン接種を受けましょう。妊娠中は風疹ワクチン接種を受けられません。また、同居家族の方が同様であれば接種してもらうとよいでしょう。

 

風疹ワクチンって？
風疹ワクチンは生ワクチンです。病原体は生きていますが、病原体のウイルスや細菌が持っている病原性を弱めたものです。これを予防接種すると、その病気に自然にかかった状態とほぼ同じ免疫力がつきます。病原性を弱くしたウイルスや細菌が身体の中で徐々に増えるので、接種後1～3週間に自然に罹患したのと同じような軽い症状が出ることがあります。

 

風疹ワクチンはいつ打てばよいですか？
抗体陰性または低抗体価の妊婦さんは分娩後早期の風疹ワクチン接種が推奨されます。産褥期早期から1カ月健診時の接種を勧められます。授乳中でも差し支えなく、重篤な副作用は極めてまれです。
妊婦さん以外の女性に対しても、機会があれば抗体検査や予防接種を勧めます。接種後は2カ月間の避妊を指導します。ワクチン接種後に妊娠が判明しても、これまでに風疹ワクチンによる先天性風疹抗体症候群の報告はありません。
妊婦さんの夫、子どもおよび同居家族も風疹ワクチン接種の対象になります。

 

風疹抗体検査、ワクチンはいくらほどですか？
富山県では現在、国の補助事業を活用し、医療機関において無料で検査を受けることができます。風疹ワクチン接種対象者の効率的な割り出しとワクチン接種につながる効果的な情報提供を行い、風疹のまん延防止を目的として風疹抗体検査事業を実施しています。
風疹ワクチン接種はまだ富山県では補助がありません。5,000円前後になります。

 

この事業の対象者はどんな人ですか？
県内に住所を有する風疹抗体検査を希望する者です。
①妊娠を希望する女性
②①のパートナー（配偶者または事実上婚姻関係と同様の事情にある者）
③風疹抗体価の低い（ワクチン接種が推奨される抗体価）妊婦さんのパートナー
ただし、過去に風疹にかかった方、予防接種を受けた方、抗体検査を受けた方は
除きます。

 

実施期間（医療機関での検査実施期間）はどうなりますか？
県と委託契約を締結した医療機関で随時行っています。
かかりつけ（最寄り）の産婦人科に相談ください。

(2014年秋vol.50号掲載。2020年web掲載にあたり一部加筆修正）