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編集部のライターたちが書き下ろした
富山での子育てに役立つ情報をまとめています

育児
2022.01.25

【Baby Q&A】赤ちゃん言葉を使ってもよい?

発達、しつけ、睡眠…子育てをしていると悩みがつきませんよね。
乳幼児の子育ての悩みを専門家にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「ようこそ! こどものせかいへ」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。

悩み ● 1歳児のママより
今1歳8カ月なのですが、赤ちゃん言葉で話しかけるのはよくないのでしょうか?

 

赤ちゃん言葉とは
一般的に「赤ちゃん言葉」とは、意味のある言葉を使い始める時期に、子どもが使う特有の言葉を意味します。わかりやすい例でいうと、「わんわん」や「あんよ」などがあります。実際には、発声が未熟な子どもに合わせて、発音しやすい音や言い回しを選んで、大人が話しかける言葉であるともいえます。母音や「マ」「バ」などの唇の動きを使った音を反復する言葉は、子どもも発音しやすいですし、音を加えたり省略したりすることで発音しやすくなる言葉(「おめめ」「ねんね」「じいじ」「あんと=ありがとう」など)もあります。また、オノマトペと呼ばれる擬音語(音を真似る語)・擬態語(状態を表す語)も、赤ちゃん言葉の1つとして考えられています。「ケロケロ」「ぴょんぴょん」「ちょっきん」などがありますね。
このように「赤ちゃん言葉」と言っても、広範囲な内容があるのです。

使用する? しない?
赤ちゃん言葉の使用については、肯定的な意見と否定的な意見の両方があります。「言葉を早く覚えられる」「コミュニケーションが豊かになる」という肯定的な意見に対し、正しい言葉を覚え直すことの無駄を指摘する否定的意見もあるのです。
私自身は、言葉を交わす際の感情的なつながりが大切だと考えていますので、子どもが話しやすい赤ちゃん語は必要だと考えています。赤ちゃん言葉を使っての会話が増えれば、「受容される」「伝わる」という満足感が生まれ、「伝えたい」というコミュニケーション意欲が高まります。言葉を獲得する時期の子どもに最も必要なのは、コミュニケーションの喜びなのです。
ただし、赤ちゃん語の中には、使用しないほうがよいものもあります。例えば、子どもの発音の未熟さによる「おいちい(おいしい)」「~でちゅ」などの言い誤りを、真似して反復することは避けるべきです。正しい発音や言葉で返してあげましょう。また、子どもの発達に合わせて、少しずつ赤ちゃん言葉を正しい言葉へと切り替えていく配慮も大切です。

オノマトペの魅力
赤ちゃん言葉の中でも、オノマトペは魅力的な言葉です。子どもが発音しやすいだけでなく、言葉の意味を理解する助けとなります。「ワンワン」などの擬音語は、言葉が意味する特徴を子どもに伝えます。また、「片付ける」などは、「ナイナイ」という擬態語によってはじめて理解できる言葉でしょう。動作を表す言葉は、物の名前以上に漠然としているので、擬音語や擬態語による手がかりがなければイメージしにくいのです。
オノマトペは、大人にとってもイメージしやすく、身体的・感情的に共感されやすい語です。「笑う」という言葉も、「ニヤニヤ」「にこにこ」「ケラケラ」「ゲラゲラ」と擬態語を変えることで、異なる情景が明確にイメージできます。
大人が子どもにオノマトペを使って語ることは、子どもとの共感性を高めると同時に、子ども自身の環境や言葉に対する感性を豊かにします。乳幼児向けの絵本などに、オノマトペを使用したものが多いのも、そのような理由からでしょう。有効に赤ちゃん言葉を使用し、子どもとのコミュニケーションを楽しんでほしいと思います。

(2017春vol.60号掲載)

石動 瑞代先生

富山短期大学 幼児教育学科教授
富山短期大学付属みどり野幼稚園園長
お茶の水女子大学家政学部児童学科卒業。県立保育専門学院等の勤務を経て2005年4月より富山短期大学幼児教育学科勤務。 2009年、日本大学大学院人間科学修士取得。
●専門分野 保育学
●担当授業 保育原理・乳児保育・家庭支援論