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編集部のライターたちが書き下ろした
富山での子育てに役立つ情報をまとめています

ヘルスケア
2022.02.07

【健康Q&A 産婦人科】無痛分娩

妊娠、出産、子供の病気…その都度悩みがたくさん出てくると思います。そんな気になる悩みを各科の先生方にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「健康相談室」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。

 

ご相談内容
出産時の痛みが恐いので無痛分娩を考えています。どのようなものか教えてください。

 

無痛分娩(硬膜外麻酔法による)って?
陣痛の痛みには個人差があるものの、痛みの中で最も強い痛みのうちのひとつとされ、それに対する不安や恐怖は非常に大きいとされます。無痛分娩は少しでも陣痛の痛みを和らげることができる方法となります。とは言え、しっかり怒責(いきみ)しないと出産できないことには変わりありません。
また、薬物を用いずに産痛を緩和するさまざまな方法と無痛分娩とは対立するものではないということです。すべての痛みを完全に取り除くのではなく、ピーク時のつらい痛みを取り除くことでお産に対する不安感が軽減され、リラックスしてお産に臨むことができるようになります。
また、子宮収縮の痛みが取り除かれてもお腹の張りはわかりますし、体力の消耗が少ないため、分娩後の回復が早く、赤ちゃんにも安全です。

 

方法は?
硬膜外麻酔法は背部から細いカテーテルを硬膜外腔に挿入し麻酔薬を注入することにより子宮、会陰からの痛みが脳に伝わるのを脊髄レベルで遮断する方法です。無痛分娩の場合、分娩日を決めて行う計画分娩が一般的です。当院では、計画分娩を考慮しますが、基本的には自然陣痛を待って入院していただき子宮口が4~5㎝開いた頃から麻酔薬を投与します。
入院時より絶食となりベッド上で怒責(いきみ)が出るまで楽な姿勢で過ごします。定期的に、血圧測定、分娩監視装置による胎児モニタリングを行いLDRでリラックスして過ごします。また、家族の立会いも可能です。

 

メリットは?
次のようなメリットがあげられます。
痛み止めの効果が早く出て確実。痛みが和らぐと筋肉や産道の緊張がほぐれてお産がスムーズに進む。
痛みが和らぐだけでなく、リラックスできるため、母体の疲労感が少ない。
分娩後の回復が早く、体力が温存できる。
赤ちゃんへの影響を認めない(赤ちゃんへの血流と酸素量が確保できるため安全)。
帝王切開が必要になった場合、同じ麻酔方法で行える。

 

デメリットは?
デメリットとしては、次のようなことがあげられます。
痛みを和らげる効果には個人差があり、希望どおりの効果が得られない場合がある。
麻酔効果が強く表れ、いきみが感じられない場合、子宮収縮が弱くなり、陣痛促進剤の使用や吸引分娩が選択される場合がある(分娩所要時間の延長)。
神経障害(感覚異常:足の感覚が鈍くなり足に力が入りにくくなる、尿を出しにくくなる)や麻酔に起因する合併症(低血圧、頭痛、背部痛、悪心、血腫、腫瘍、感染、アレルギー) の可能性がある。

 

産婦さんと助産師が信頼関係を築き上げ納得のいくお産ができるのが一番よいと思います。ただ、お産に対するイメージ、痛みに対する不安は個人差がありどうしても痛みに対する不安をぬぐえない産婦さん、痛みが嫌だからお産が嫌だと思っている女性には硬膜外麻酔無痛分娩という方法があるということを知って安心してほしいです。
当クリニックではお産の途中でも状態によって硬膜外麻酔無痛分娩に切り替えることも可能です。お気軽にご相談ください。

(2017年春vol.60号掲載)

おとぎの森レディースクリニック院長 古谷 博先生

平成3年、愛知医科大学卒業。
平成23年4月、現レディースクリニックを継承、開院。
医学博士、日本産科婦人科学会認定医、母体保護法指定医。