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編集部のライターたちが書き下ろした
富山での子育てに役立つ情報をまとめています

育児
2021.03.02

【Baby Q&A】朝の挨拶ができない

発達、しつけ、睡眠…子育てをしていると悩みがつきませんよね。
乳幼児の子育ての悩みを専門家にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「ようこそ! こどものせかいへ」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。

悩み ● 2歳児のママより
登園時、先生に声をかけられても、なかなか挨拶ができません。
どのように働きかければよいでしょうか?

 

登園時の風景
登園を出迎える先生の明るい挨拶に、うつむいたり、もじもじしたりする子ども。「ほら、おはようございますでしょ!」と、子どもの頭に手をあてながら挨拶させる親。毎朝よく見られる登園風景の一コマです。
“挨拶の大切さ”をきちんと子どもに教えようという親の姿に“ほっ”と安心する一方で、「そのやり方は逆効果かも」と少しドキドキもします。強制される心地悪さが、挨拶の楽しさや喜びを失わせてしまうのではと感じるからです。

年齢発達による理由
“挨拶をしない”という姿は、2~3歳児特有の恥ずかしさや照れ、反抗心などが影響していると思います。
一般的には、3歳頃までに大人とほぼ同様な基本的感情が完成すると言われています。ちょうど2歳頃には、他者の目を意識した感情が豊かになってきます。恥ずかしさを強く感じるようになるので、これまでできていた“挨拶”を嫌がる子もでてくるのです。
また、場面に応じた気持ちの切り替えが十分できない年齢です。登園時にはおうちモードを引きずって、すぐに園モードに対応できない場合もあるでしょう。加えて、イヤイヤ期でもありますから、「しなさい」と言われたら、「絶対しない!」となることも。
他の年齢時期に比べて、挨拶をしない発達的理由が十分にあるのですから、あまり「できる」ことにこだわらなくてよいと思います。むしろ、罪悪感をもち始める時期でもあるので、きつく注意することで、余計に挨拶を負担に感じる恐れもあります。

挨拶の大切さ
人とかかわる力の基本として、挨拶はとても大切な行動ですし、幼少期からの習慣形成が望まれる行動でもあります。まずは、大人自身が挨拶する姿を子どもに見せることで、社会ルールの一つとして伝えることが大切です。さらには、挨拶によって相手の笑顔や優しい言葉が返ってくることの喜びを感じとらせることも必要でしょう。
ただし、大人が気持ちの良い挨拶を見せ、子どもにその大切さを伝えていても、子どもが挨拶をするとは限りません。子どもにも、子どもなりの“しない理由”があるからです。それに、恥ずかしがらないでと言っても、すぐに変われるものじゃありません。
大切なのは、子どもが挨拶の大切さに気づいているかどうかです。「チラッと相手を見る」「うつむく」「隠れる」などの行為は、その子なりの反応を相手に返している証拠です。「本当は挨拶しなきゃってわかってるけど、理由があってできないから…」という子どものメッセージですから、それでOKなのです。表面的な行動にこだわらず、子どもの内面に目を向けてあげてください。

いま、私たちができること
「最近の子どもは挨拶をしない」とよく聞きます。しかし、簡単な言葉を交わすこと自体、社会全体で減少してきています。その背景には様々な課題があるのですが、未来を担う子どもたちのために、私たちは、基本的な挨拶はもちろん、「どうぞ」「ちょっといい?」など、普段の行動に簡単な言葉を添えることを大切にしていきたいと思います。

(2015秋vol.54号掲載)

石動 瑞代先生

富山短期大学 幼児教育学科教授 富山短期大学付属みどり野幼稚園園長
お茶の水女子大学家政学部児童学科卒業。県立保育専門学院等の勤務を経て平成17年4月より富山短期大学幼児教育学科勤務。 平成21年、日本大学大学院人間科学修士取得。
●専門分野 保育学
●担当授業 保育原理・乳児保育・家庭支援論