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編集部のライターたちが書き下ろした
富山での子育てに役立つ情報をまとめています

育児
2021.11.02

【kids Q&A】兄弟を仲良くさせるには

発達、しつけ、睡眠…子育てをしていると悩みがつきませんよね。
幼児の子育ての悩みを専門家にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「ようこそ! こどものせかいへ」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。

お悩み ● 3歳児・5歳児のママより
男の兄弟でケンカが多くて困っています。仲の良い兄弟に育てるために必要なことがあれば教えてください。

 

お兄ちゃんの気持ち
弟が生まれるまでは一人っ子で、自分だけを見てもらっていたお兄ちゃん。周りの大人はどうしても小さい弟に目が行きがち。そして、ケンカをして、「お兄ちゃんでしょ。我慢しなさい」と言われると、「弟ばかりひいきして」という思いが募るばかり。そして、何か嫌なことがあったら、身近にいる弟に八つ当たり。そして、また叱られる。でも本当は、気持ちを聞いてほしいと思っているだけかもしれません。

弟の気持ち
弟は、初めからお兄ちゃんがいます。なんでも言うことを聞かせようとしてくる理不尽さがあっても、お兄ちゃんがやっていることは魅力的で自分も真似したくてたまりません。ですから、お兄ちゃんと同じことをしようとしたり、かまってほしくてついついちょっかいを出したりします。そんな思いが行き過ぎて、お兄ちゃんには邪魔者扱いされることもしばしば。本当はお兄ちゃんのようになりたいと思っているかもしれません。

物の取り合い
使いたいものが一緒なのに一つしかない。もしくは、たくさんあっても独り占めしたい。ケンカにもいろいろありますが、これが、一番よくある理由でしょう。親としては「分け合ってほしい」「仲良く順番で使ってほしい」「違ったもので遊べばいいのに」などと思うかもしれません。ですが、兄弟だからこそ好きなものが似通ってくるものです。同じ遊びや生活環境で育ってきたのですから。そして、相手の使っているものがとても素敵なものに見えてきます。いつも一緒にいる兄弟がとても楽しそうにしているので、それを使ったら「きっと僕だって楽しくなるに違いない」と思うのです。
だからこそ、兄弟が大きくなって会話ができるようになってくると、共通の趣味でつながり、互いに仲の良い友達みたいな関係になることもあります。

気持ちの受容、モデルの提示
大人は、ケンカした行為自体を叱ることが多いと思います。でも、「ケンカしないで仲良くしなさい」と言うのは、「問答無用、何かあっても我慢して大人しくしなさい」と言われているのと一緒です。ケンカの理由となるイライラした気持ち、モヤモヤした気持ちを受け止めてもらえないと、逆にイライラが募り、大きなケンカになっていきます。 そうではなく、互いの思いを聞いて、どうやったらケンカをしなくて済むかということを一緒に考えたり、大人がモデルややり方を提案したりするとよいでしょう。
また、分け合うことができるのは、自分の遊びを保障され満足し、相手に思いを受け止めてもらえる安心感があるからです。協力できるのは、一緒に順番やルールを守って遊んでみたら楽しかったという経験があるからです。
例えば、遊びの保障では、互いに必要な量のブロックなどのおもちゃを確保して、どうしても貸してほしい時には、許可を得て使うことなどを一緒に話し合って決めます。相手と協力して遊ぶモデルややり方は、かるたとりなど簡単なゲームで、一緒にルールを守って楽しく遊ぶ時間を設けます。
ケンカを減らそうと思うより、楽しい時間を増やすことに心がけると、仲良しの道が開けてくるのではないかと思います。

(2016秋vol.58号掲載)

開 仁志先生

金沢星稜大学 人間科学部こども学科教授

小学校、幼稚園、富山短期大学、富山国際大学教員を経て現職。富山大学大学院教育学研究科修了、修士(教育学)。南砺市在住。
●専門分野 保育学(保育者養成)
●担当授業 保育者論、幼児教育実習