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編集部のライターたちが書き下ろした
富山での子育てに役立つ情報をまとめています

育児
2021.03.02

【kids Q&A】子どもの性教育

発達、しつけ、睡眠…子育てをしていると悩みがつきませんよね。
幼児の子育ての悩みを専門家にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「ようこそ! こどものせかいへ」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。

お悩み ● 5歳児のママより
小学生での妊娠など性的な興味の低年齢化の話を聞くと、もっと小さいころから性教育をすべきなのか悩みます。どの程度まで親が関わるべきでしょうか。

 

生物学的な「性」
赤ちゃんは、自分が女か男かを理解するのはまだ難しいようですが、生後7~9カ月ごろになると、自分以外の男女の声や顔を区別することができるようになり、2歳ごろになると、自分自身や他の人の性別が判断できるようになってきます。
幼児期は、生物学的な男女の体の違いや、自分が男女どちらに位置するかを理解していく時期です。知りたいという気持ちから素朴に性に関する質問をすることがあるでしょう。その時に、大人が「そんなことを聞いてはいけません」と隠したりタブー視したりすると、子どもは性について、ネガティブなイメージをもつことも考えられます。その年齢の子どもにわかりやすい言葉で素直に返してあげるとよいでしょう。性教育に関する絵本もあるので、探してみてください。

ジェンダー
ジェンダーとは、生物学的な性のことではなく、歴史・社会的につくられた性のことです。簡単に言うと、「男らしさ」や「女らしさ」といったものです。
例えば、男の子は「たくましく元気に」、女の子は「優しくおしとやかに」育ってほしいというイメージはないでしょうか。このようなイメージは、私たちが所属している社会の中で歴史的につくられ、親によるしつけや仲間同士のかかわりの影響を受け、子どもの中に内面化されていきます。
大人が、このジェンダーに対する意識が薄いと、知らず知らず性別による固定的な意識を植え付けることになります。例えば、持ち物やおもちゃを色やデザインで男の子用と女の子用に当たり前のように分けたり、男は仕事、女は家庭などの固定的な考え方を押し付けたりすることです。
子ども一人一人の思いを受け止めることや、男女共同参画社会を意識して、夫婦で協力し合う姿を見せるなど、親自身がモデルとなることが望まれます。

セクシュアリティ
ご質問のような、性的な興味の低年齢化の話に一番関係するのが、セクシュアリティの問題でしょう。テレビやネットの影響などで、性的な興味をあおる環境が多いことも原因の一つと考えられます。
例えば、子どもが(もしくは大人が)流行のアイドルが好きだからといって、子どもに過度に露出の多い服を着せたり、大人びた化粧やアクセサリーを与えたりするのは考えものです。メディアの影響に惑わされることなく、子どもの成長にとってふさわしい環境とは何かを考える良識が大切になってきます。 そして、大事なところは清潔に、人前でどこでも見せるのはふさわしくないことも伝えていくとよいと思います。

「生」の教育
一人一人が歴史・社会的につくられた性差だけにとらわれず、人間らしく、自分らしく生きるというジェンダー・フリーという考え方を意識していきたいものです。
また、人の嫌がることをしないことを伝えたり、思いやりの気持ちや人を好きになり愛し愛される喜びの気持ちを育んだりしていくことが、親としてできる一番の性教育=生きる教育だと思います。

(2015秋vol.54号掲載)

開 仁志先生

金沢星稜大学 人間科学部こども学科教授
小学校、幼稚園、富山短期大学、富山国際大学教員を経て現職。富山大学大学院教育学研究科修了、修士(教育学)。南砺市在住。
●専門分野 保育学(保育者養成)
●担当授業 保育者論、幼児教育実習