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編集部のライターたちが書き下ろした
富山での子育てに役立つ情報をまとめています

ヘルスケア
2023.11.13

新生児聴覚検査と難聴について

新生児聴覚検査って聞いたことがありますか?

生まれてすぐに赤ちゃんは、先天性代謝異常等検査と新生児聴覚検査を受けることになります。いずれも異常の早期発見を目的としているものです。

今回は、難聴の家族と生活するライターが、新生児聴覚検査や難聴について解説します。

 

 

 

 

新生児聴覚検査ってなに?

新生児聴覚検査は、赤ちゃんが受けることのできる「耳のきこえ」の検査です。
生まれてくる赤ちゃんの1,000人に12人は、生まれつき難聴であると判断されます。
言葉の発達などにも影響を及ぼす可能性があるので、生まれつきの難聴を発見し、できるだけ早い段階で適切な療育(支援や治療)を行うことが大切です。

 

新生児聴覚検査は、出生後の入院中に行うことが多く、寝ている赤ちゃんにイヤフォンから耳へ検査用の音を聴かせ、それに対する耳や脳の反応を測定します。数分から数十分で終わります。
富山県の事業として2005年に開始されてから、今では県内で98%以上の赤ちゃんが検査を受けていて、全国トップレベルの実施率です。

 

検査結果は、「パス(pass)」か「リファー(refer)」(要再検)のいずれかで示されます。

 

「パス」は、検査時点で異常なし。
「リファー」は、より詳しい検査が必要ということで、2週間健診または1カ月健診で再検査を行います。「リファー」=「難聴」というわけではありません。
検査結果で「リファー」となっても本当は聞こえている場合もあるからです。
生まれてすぐの赤ちゃんは耳の中に水分が残っていることが多く、最初の検査でパスしないことがあるそうです。多くは2回目の検査で正常と判定されます。

 

2回目も「リファー」となった場合は、難聴の可能性が高いということで、次の健診で改めて別の検査を行います。

 

 

 

 

そもそも難聴ってなに?

難聴には先天性難聴と後天性難聴があります。先天性難聴のうち、出生時に見つかる難聴の5割~7割が遺伝性難聴と言われています。また、妊娠中の母親がサイトメガロウイルスや風疹などに感染すると赤ちゃんが難聴になることがあり、先天性難聴の13割を占めると言われています。
他にも遺伝性や出生時の状態(低酸素、重度の黄疸、低出生体重児など)によって生じる難聴があります。

 

後天性難聴は、主な原因として慢性中耳炎、感染症(おたふく風邪や細菌性髄膜炎など)、若年発症型両側性感音難聴、耳の病気、薬剤性、外傷、加齢などがありますが、原因がはっきりわからないこともあります。
近年では、芸能人のニュースなどでも耳にすることが増えている突発性難聴なども含みます。

 

 

 

 

子どもの難聴は遺伝なの? 遺伝子検査でわかること

富山大学附属病院では、生まれてきた子どもに遺伝性難聴や染色体異常はないかなどを調べる遺伝子検査が行えます。
検査では、採血した血液から難聴に関する遺伝子に変化が見つかった場合、同じ遺伝が原因の方たちのデータを基に調べます。
難聴の経過の予測、難聴以外の症状、治療法の選択、将来的に難聴の子どもが生まれる確率などに関する情報を得ることができます。

 

人の遺伝子は3万種類ほどありますが、難聴に関係する遺伝子は100種類以上見つかっています。それでも、まだ5割ほどしか明らかになっていません。

 

 

 

 

息子が難聴と診断されて補聴器をつけるまで

私の夫は、補聴器をつけるほどではないけれど、聞こえにくさを感じている中等度難聴です。夫の家族の中には、補聴器をつけている難聴者もいます。

 

夫の家族に難聴が多いことで、私は出産前から生まれてくる子どもも難聴である可能性が高いと思っていました。妊娠中に夫から「目が見えにくかったら眼鏡をかけるように、耳が聞こえにくかったら補聴器をつけるだけ。補聴器は“耳のメガネ”だよ」と言われたことで、もし子どもに難聴が見つかっても耳のメガネをつけるだけだと思えるようになりました。

 

私の息子は新生児聴覚検査で「リファー」になり、2週間健診の確認検査(再検査)でも、「リファー」になりました。

 

その後、出生時の病院から紹介を受けた富山市の「みみはなのど あそうクリニック」で、精密検査を行いました。脳波の反応を見る検査の結果、息子は「45B50Bは聞こえているだろう」と診断されました。息子は、普通の大きさの声での会話が難しい中等度難聴でした。そのため、補聴器が必要になりました。

 

 

 

 

耳のめがね、補聴器

難聴は、聴力レベル(音の大きさ)によって程度が異なります。

0~25Bは正常

25~40Bは軽度難聴

40~70Bは中等度難聴

70~90Bは高度難聴

90dB以上は重度難聴

*dB(デシベル)は、音の大きさでここでは聴力レベルを示します。

 

 

精密検査で中等度難聴以上と診断されると、補聴器が必要になる場合があります。補聴器は、病院内に補聴器メーカーの方が来られ、作ることができます。約2週間後には補聴器が出来上がります。

最近では補聴器が小さくなり、つけていることが周りからわからないものやおしゃれなものもあります。

現在、息子は補聴器を付け、言語聴覚療法を受けているため、言語習得に何ら問題はありません。早期に難聴が見つかり、適切な療育を行えたからだと思っています。

 

参照:千葉県ホームページ

   新生児聴覚スクリーニング検査を受けましょう(千葉県発行)

   新生児聴覚スクリーニング検査の手引き(千葉県発行)

   富山県ホームページ

   よりよいコミュニケーションのための聞こえのワークブック(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)

 

 

 

(ママライターE)