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編集部のライターたちが書き下ろした
富山での子育てに役立つ情報をまとめています

ヘルスケア
2025.05.01

「まさか私が!?」40代二児のママが乳がんになった話(前編)

育児に仕事にと毎日バタバタで、自分のことなんて後回し。
そんな私が「乳がん」と診断されたのは、軽い気持ちで受けた検診がきっかけでした。

思いがけない告知から、家族のことや仕事のこと、自分の身体のことなど、
いろいろなことを考える機会になりました。

 

大変なこともあったけど、今はすっかり日常に復帰!

そんな私の「乳がんと向き合った日々」をちょっとだけ振り返ります。

 

 

軽い気持ちで「念のため」受診

診断を受けたのは2年前のこと。当時は小学2年と年中の娘2人を育てながら、
会社勤めとライターの仕事を掛け持ち、慌ただしい毎日を過ごしていました。
41歳とはいえ、健康にはそれなりに自信があり、「がん」なんてどこか他人事でした。

 

 

はっぴーママ富山版で「キャンサーパンサー×はっぴーママ #がん検診に行こう」の連載が始まることになり、
担当ライターとして「念のため検診でも受けてみよう」と軽い気持ちでクリニックへ行きました。

二女の妊娠前に受けた乳がん検診で精密検査を受けたことがあったのですが、そのときは問題なし。
その後「経過観察」となっていましたが、出産を経て卒乳まで3年ほど検診から遠ざかっていました。

 

 

総合病院で精密検査に

クリニックでは、マンモグラフィー検査と超音波検査を受診。少し気になるしこりがあるということで、提携している総合病院で詳しく検査をすることになりました。二女の授乳時に乳腺炎になったことがあったので、
「今回も良性でしょ」とのほほんと構えていました。

 

受けたのは「針生検」といって、画像を確認しながら太い針を胸に刺して組織を採取する検査です。「太い針を刺す」と聞いて少し緊張しましたが、部分麻酔をするので痛みはほとんどなし。結果が出るまでの10日ほども、
普段と変わらず、テーマパークに家族旅行に行ったりしていました。

 

このとき「40代のがん」はまだまだ自分ごとではありませんでした。

 

 

不意打ちの告知

「良性でしたよ」「乳腺症ですね」。病院の先生からそんな言葉が返ってくると思い込み、
診断結果の説明には一人で向かいました。

 

でも診察室に入り、女性医師が画像を見ながら言ったのはまさかの一言でした。

 

「乳がんでほぼ間違いないと思います」

 

不意打ちを食らって、顔にはしばらく笑顔が張りついたまま。

「他人事」だったがんが、一気に「自分ごと」になった瞬間でした。

 

 

ベッドに横たわったら涙

これまでに医療系の取材を担当したこともあり、多少はがんについての知識もありました。

「乳がんは早期発見すれば治る病気」

これまでに何度も記事に書いたフレーズを自分に言い聞かせて、

平静を保って説明を聞き終えました。

 

 

「治療方針を決めるために、追加の検査をしましょう」

先生に言われ、処置室でベッドに横になった瞬間、

突然、涙があふれてきました。

びっくりして「すみません」と言った声が震えていて、

「あ、私、怖かったんだな」と、そのとき初めて自分の本音に気づきました。

 

 

頭に浮かんだのは、子どもたちの顔

そのとき一番に頭に浮かんでいたのは、自分のことではなくて、子どもたちのこと。

「もし私がいなくなったら…この子たちはどうなるんだろう」

「手術でしばらく入院するなんて、寂しい思いするだろうな」

 

治療そのものの恐怖というより、子どもたちに悲しい思いをさせてしまうのが不安でした。

 

でも、同時に強く思ったのが「生きたい」ということ。

1日でも長く、娘たちの成長を見届けたい。大人になって自立していく姿をちゃんと見ていたい。

その思いが、私の中で一番の優先事項になりました。

 

 

「一日でも長生きを」と決断

医療の進歩により、乳がんは進行度やがん細胞の性質によって
最も効果的とされる「標準治療」がかなり確立されています。

そのため、早期に発見して適切な治療を行えば治りやすいがんと言われています。

 

私の場合も、追加検査で初期のがんであることがわかり、がん細胞の性質などに沿って治療方針が示されました。

 

まずは手術で右胸を全摘し、その後は再発を防ぐため、抗がん剤による化学療法と投薬治療を行うことになりました。乳房を残す「温存治療」という選択肢もありましたが、私は迷わず全摘出を選びました。

理由はシンプル。「命を最優先したい」から。


また、切除と同時に乳房を再建する「同時再建術」も選択肢に上がりましたが、
できるだけ身体への負担を減らしたかったので、同時再建はしないことに決めました。

希望すれば後からでも再建できると言われたことも後押しになりました。

 

いろいろなことを短期間で決めなければいけませんでしたが、

「子どもたちと一日でも長く一緒にいるためには、何が最善か」

そう考えたら、選択にも迷いがなくなりました。

 

 

「ママ不在ノート」を作成

乳がんの手術による入院期間は、術後の経過にもよりますが、だいたい2週間ほど。

私の場合は、小学校の夏休みに重なりました。

普段は私が中心となって家事や子どもの世話をしているため、「パパ一人で大丈夫かな?」と不安でしたが、

子どもたちの一日の流れや持ち物、注意事項などをメモした「ママ不在ノート」を作成して夫に託しました。

 

入院期間中、夫は在宅勤務中心に切り替え、家事や子どもの世話を優先。
近くに住む義父母も食事の支度や習い事の送迎などをサポートしてくれました。

「子どもたちが不安にならず、いつも通り過ごせるように」

その思いで、みんなが協力してくれました。

 

子どもたちには、「がん」という言葉を使わずに、

「ママの身体に小さい病気のもとが見つかったから、それが広がらないように早めにとってくるね」と話しました。

 

入院期間はコロナ禍直後でまだ面会が難しかったため、毎日テレビ電話で子どもたちと会話。
パパとラジオ体操に行ったり、スーパーへ買い物に行ったりしたことも楽しかったようで、
寂しい夏休みの思い出にならずに済みました。

 

 

乳がんになって、見えてきたもの

「まさか私が」と思った乳がん。

でも、そんな体験をしたからこそ、見えてきたことがありました。

 

・子どもの笑顔は、私の生きるパワーになること

・自分を大事にすることは、家族を守ることにもつながること

・自分で頑張りすぎず、必要なときは周囲に助けてもらうこと

 

そして、”ちょっとだけ立ち止まる勇気”の大切さを実感しました。

 

 

ママたちへ、伝えたいこと

私のように、子育てや仕事に追われて”自分のことは後回し”にしているママたちへ。

40代からは、ぜひ定期的に検診を受けてください。

ちょっとでも違和感があれば、病院に行ってください。

それが、あなた自身はもちろん、家族の未来を守ることにもなります。

乳がんは早期に見つかれば治る可能性が高い病気です。

 

 

次回は「治療編」へ!

次回の後編では、抗がん剤や脱毛、治療費のこと、手術後の生活のことなど…。「治療中のリアル」をお届けします!

 

 

 

 

(ママライターN.Y)