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ヘルスケア2020.07.07

【健康Q&A 小児歯科】10カ月でまだ歯が生えない

妊娠、出産、子供の病気…その都度悩みがたくさん出てくると思います。そんな気になる悩みを産婦人科・小児科・小児歯科の各先生方にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「健康相談室」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。

 

ご相談内容
10カ月でまだ歯が生えてきません。後期離乳食を与えていて大丈夫でしょうか。

 

今、子どもたちに何がおきているの?

噛めない、噛まない

上手に飲み込めない(いつまでも食物が口の中にある)

口がポカーンと開いていることが多い

表情に乏しい

味覚が鈍感

歯並びが悪い、噛み合わせが悪い

など、多くの問題を抱えている子どもが増えています。一体なぜでしょうか?

様々な原因があると言われていますが、そのなかでも離乳食の時期における口の機能の発達不足はこれらの問題をおこす原因のひとつです。

 

乳幼児の口腔機能の発達の獲得段階

口唇閉鎖機能を獲得する
ごっくん期(5〜6カ月)
食べ物を口唇で捕えて口の中に送り込むことを覚える時期。口唇を閉じることが重要

舌で押しつぶす動きを獲得する
もぐもぐ期(7〜8カ月)
舌を上顎に押しつけてつぶして食べられるようになる時期

自食の準備
かみかみ期(9〜11カ月)
前歯で噛み切り、臼歯相当部歯肉ですり潰して食べるようになる時期

離乳の完了
ぱくぱく期(12〜18カ月)
摂食機能と手指の協調、スプーンなど食器具の使用

自食機能の獲得
(2歳〜3歳)
乳歯が生えそろう時期、大人と同じものが食べられるようになる。しかし噛む力はまだ十分ではないので食材料には注意が必要

この口腔機能の発達の獲得段階時期で大切なことは、あせらないで、ゆっくり確実に一つ一つのステップを進めていくことです。

参考までにカッコ内に各ステップごとの時期の月齢が記載されてありますが、発達には個人差がありますのであくまでも目安で多少の遅い早いは、気にしない方がよいかと思います。また、少しでも早く次の段階に進もうとするあまり、急ぎすぎて十分な機能を獲得することなく、かえってよく噛めない、上手に飲み込めないなどの問題がおきてしまうことがありますので、気を付けてください。

もし万一発達が遅れ、十分な機能が獲得できないことがあっても、その機能を獲得するために発達の順序に従って食べる機能のトレーニングをしていけばかなりの状態までできるようになると言われています。

 

歯の萌出と離乳食
食べることの機能は歯の萌出だけでなく舌、筋肉、神経、知能、心理的なことなど関連しながら発達するもので、歯の萌出だけで離乳食、幼児食の内容を決めるには少し無理があります。ここでは、歯の生え方と特に関連していることについてのみ挙げてみました。

歯の生えていない時期
哺乳を十分与えることにより顎の発達を促す

下の歯が生える時期
舌が前にでないので離乳食がとりこみやすい

上下の前歯が生える時期(後期離乳食)
前歯を使い柔らかな形ある物を噛み切る機能を獲得する時期、後に生えてくる奥歯で噛むための基礎練習(まだ奥歯では噛めないので注意。奥の歯ぐきを使って潰せるものがよい)

最初の臼歯部が生える時期
奥歯で噛める時期。幼児食への移行期(まだ繊維性の強いものは噛み切れない)

20本全部の歯が生えそろう時期
繊維性の野菜、硬いものを食べる練習、良く噛んで噛み砕く

食べる機能を育むことは一生にわたる非常に大切なことです。機能発達の最適な時期は、特に離乳期から幼児食へ移行するこの時期と言われています。また食べ方の基礎作りは幼児期にあると言われています。生涯を通じた健康、生活習慣病の予防の鍵でもあります。どうしても食べる材料内容にとらわれやすいのですが、口腔機能発育の為の食べ方、噛む力を育てる食べ方などについても考えてみる必要があるかと思います。

(2012春vol.40号掲載)

城川歯科医院院長  城川 和夫先生

1982年、日本大学歯学部大学院卒業(小児歯科学専攻)。その後富山市にて開業。日本小児歯科学会地方会理事、日本学校歯科医会理事を歴任、現在富山県歯科医師会副会長、富山県学校保健会副会長。

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